会社の休眠手続き 法人の休眠とは
2017/06/21
今回はクライアント様から依頼を受けた内容の投稿です。
依頼内容:東京都の法人で、現在一切活動がない状態だが、いずれ何かに使う可能性があるため、法人を清算しないで残しておきたい。しかし、税金(均等割)を払い続けたくないので法人を休眠させられないか。
資本金1億円超の会社など一定規模以上の会社、公益法人等の法人は除外して、小規模の一般事業会社を前提に回答します。
また、消費税については申告納税義務は別の話ですので、ここでは触れません。
法人は利益の有無に関係なく、都道府県または市区町村に一定金額(均等割という)の納税義務があります。また、当然ながら一切活動していなくとも申告義務があります。そこで、会社が暫く活動しないが、いずれまた活動を再開する会社においては、その均等割の負担を免除してほしい、申告も手間なので免除してほしい、と考えるのは当然です。そこで会社の休眠という話が出てくるわけです。
まず理解しなければいけないこと
休眠という制度はありません。
あえてその状態を言葉にするなら東京都の場合では、あくまで都税事務所「均等割徴収の見合わせ」という状態です。
この状態については、自治体によって扱いが異なりますので注意が必要です。
また、国税の方では均等割のように利益に関係なく課税される税がなくとも、申告は必ず求められます。(納付書も届きます。)
では制度がない以上、どうすれば休眠状態にすることができるのか?
結論から言うと、下記の方法で依頼された内容の状態にはできます。
地方税分については均等割徴収の見合わせ状態にしてもらうため、異動届の備考欄に、該当する事業年度の期首から営業活動を一切行わない旨を記載し提出したうえ、都税事務所に確認の電話をする。電話にて、今後裏付けとなる通帳等証憑を求められることもある旨を承諾。
国税分については異動届の提出に関係なく納付書が届き、事業活動をしていない期間についても法人税の申告は求められている状態です。(当然、法人の活動を再開した年度の申告時には、無申告期間についてのおたずねがあります。その時に無申告期間についての0円申告を求められることは稀です。また、活動再開時には当然無申告期間についてのおたずねがあります。)
地方税についてもですが、そもそも休眠という制度もない以上、異動届を出す意義もはっきりしません。また、当然ではありますが無申告期間が発生することで青色申告は取り消しになっています。
最後に
休眠とは法的に定められた手続きではなく、曖昧な状態であるため、おすすめはできません。
法人において無申告期間があるというのは受け入れ難いものです。特に繰越欠損金がある法人の場合は青色申告の取り消しで、繰越欠損金が消えてしまうため、将来の税負担への影響がある点には注意が必要です。今後の法人の活動を見据えて判断されるのがよいのではないでしょうか。
最後の最後に補足ですが、登記については休眠状態であるか否かは関係ないので、休眠中であっても株式会社で役員が任期満了となる場合、再任登記申請の必要があります。この手続きは失念していた場合、登記懈怠となり過料の制裁が発生します。
また、役員の変更登記をしないまま、最後の登記から12年経過した場合、その法人はみなし解散となります。登記官の職権で解散の登記がされてしまいますので注意が必要です。