税務(個人事業)

配当所得を総合課税で申告し住民税のみ申告不要もしくは分離課税

2017/06/25

平成29年3月の確定申告で衝撃的なことがあったため、記事にしておきます。
この改正のおかげで今年の申告は土壇場で数件修正して申告をしました。

その申告数日前に知った衝撃の処理は以下のものです。

配当所得の課税方式は、所得税と住民税において異なる課税方式を選択することができる

これは平成29年度税制改正で定められるとのですが、
自治体何か所かに問い合わせたところ、平成28年度の申告においても救済措置として、上記の方法で申告可能でした。
(当該事案につき裁判があり平成28年度中に納税者勝訴となったためとの話を聞いております。)

配当所得の課税方式は制度上、申告分離・総合課税・申告不要の3つの選択肢があります。

(実際は上場か否かや、持株割合によって、配当の種類によって上記3つのうち
選択できる課税方式がことなりますが、ここでは記事のポイントから外れるため割愛させて頂きます。)

ここで、所得税の確定申告時に上記の申告分離・総合課税・申告不要の3つから選択した課税方式が、住民税の計算上も引き継がれるのが従来の制度でした。

また、それが原因で、配当所得が大きい方の所得税確定申告書作成の際には、各課税方式のうち、どれを選択すると有利になるか計算するのがポイントの1つでした。

しかしながら、それが別々の課税方式が採用できるとなると、有利判定も単純なものとなりますし納税者にとっては税負担が大きく軽減されます。

具体的には、配当に関しては国税分15.315%が源泉されている場合、単純に総合課税の税率がどの位置にいるかで比較し10%や5%の位置にいる場合、総合課税を採用し住民税においては申告不要を採用するのみとなります。
(譲渡損がある場合等では分離で損益通算も有利判定に含めて考える必要がありますが)

住民税だけ配当所得の課税方式を変える手続

実際の手続きとしては、確定申告書においては有利判定で選択した課税方式で通常通り申告し別途住民税申告書を自治体へ提出することとなります。
また、当該住民税申告書の備考欄には、確定申告書と異なる課税方式を選択している旨を記載しておくと無難です。所得税の確定申告書添付を求めた自治体もありました。

私の場合は事前確認の電話をしていたせいか、後日市役所の担当部署から確認の電話がありました。

ここで住民税申告書というものは何ぞや、と思われた方が多いかと思いますが、各自治体による様式であるため、窓口でもらうことになるのが現状です。

内容は確定申告の各課税所得を転記するだけですが、手間が多少かかるので、そのあたりの費用対効果も勘案すべきかもしれません。税負担が減る業務ということで、報酬をその分上乗せして請求できればよいのですが。

最後に、ここまでで配当所得の課税関係に関する有利選択を記事にしていますが、健康保険料への影響も見逃せませんので、注意が必要です。

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