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国内FX業者のレバレッジ規制変更について

9月27日に日経新聞に国内FX業者のレバレッジ規制が、現在の25倍から10倍に変更される旨の記事が掲載されました。要するにレバレッジの引き下げですね。

それを受けてFX業者の中でも、金融先物取引業者として上場しているヒロセ通称株式会社の株は売られ、株価は大きく下落しました。ユーザー(為替トレーダー)が減る、もしくは取引量が減るため、FX業者の利益も下がると予想しての株価下落です。↓はヒロセ通商のチャートですが、すごい下落ですね。。

ちなみにGMOクリック証券などは、GMOインターネットグループの孫会社であるため影響は限定的と見られたのでしょう、下落幅はヒロセ通称株式会社ほどではありませんでした。業界においては値耳に水の状態で、かなりFX業者から反発が出ているとのことでした。

現段階で公表されていること

金融庁が外国為替証拠金取引(つまりFX)の証拠金倍率(つまりレバレッジ)を引き下げる方向で検討を行っているそうです。具体的には、現行のレバレッジ25倍の規制を、10倍程度にする方針とのことでした。

正直言って、この規制はハイレバレッジで危険な取引を行っている人以外の人、つまり余剰資金で安全運用している人にとっては害でしかないです。後述しますが、EAを稼働させている人にとってもマイナス要素だと思います。

規制の理由

金融庁の公表している理由としては大きく分けて2つあり、穿った見方ではありますが、もう1つの理由も見えてきます。合わせて3つの理由がありますので、それぞれの理由を見てみます。

①個人の投資家が想定外の損失を抱えるリスクがある。

この個人の損失リスクを前提として規制は過去からの流れの延長で、対個人口座、対法人口座、いずれに対しても規制が次第に強くなってきています。

ここで、FX取引に対するレバレッジ規制の歴史を見てみます。2010年(平成22年)の8月までは、金融庁からの規制がないため、各FX業者によって運営上の規制があるのみで規制はまちまちでした。そのまちまちな規制の中で、当時のレバレッジは400倍も普通でした。現行のレバレッジ25倍と比較すると、入金額が同じでも当時は現在の16倍多くのポジションが持てた計算になります。

この2010年の規制がどうして入ったかというと、この2年前である2008年(平成20年)にリーマンショックがあり個人の損失が話題になったためです。元を辿ればそこから規制の流れができてきました。

②日本発の為替取引で市場の混乱が起きることを防ぎたい。

この理由ははっきり言って「?」なのですが、各日の主要なマーケットオープンが東京→ロンドン→ニューヨークであることから、もし世界的な金融危機が発生した場合、日本時間から外国が参入し、株式市場を合わせ日本の相場から混乱が発生することを防ぐ~といったことでしょうか。詳細を見てみないとわからないのですが、少し強引な気がしないでもないです。

③株式など国内金融商品に対して長期的な資金を呼び込みたい

これは穿った見方なのですが、裏では株式の方へ資金を流したいという思惑があるように思えます。

現在、公的な資金も株式へ流れており、その運用が世間を騒がせることもあります。政府はNISAなどを使って個人の資金を株式市場へ流そうとしていますが、どれも決定打にはなっておらず、四苦八苦しているのが現状です。その手段の一環として投資家を為替市場から株式市場へ流したいがための規制ではないでしょうか。なぜなら商品先物や、株価を指数とした先物でも為替同様のリスクがあるものの、レバレッジ規制の話がここ数年出ていないからです。

また、為替トレードは為替レートの裁定に貢献している部分がありますが、そちらの方よりも株式の裁定取引をより活発化したいという思惑も見え隠れします。

規制の影響

レバレッジが25倍から10倍に変わると、どのような影響があるかですが、ザックリ言うと1つのポジションに対して必要な証拠金が大きくなりますので、入金額に対して持てるポジションが少なくなります。

具体的には(現在のドル円のレートが112円で計算すると)レバレッジ25倍の現在はドル円でlot0.1(10,000通貨単位)ポジションを持つためには約44,800円の証拠金が必要なのに対し、規制後のレバレッジ10倍となると112,000円の証拠金が必要となります。

ドル円のポジション1つに112,000円必要となると、もうFX取引をする人激減ですよね。。

このように、レバレッジ規制が変更することで、同じ資金に対して比べると保有できるポジション数が減ることになります。しかし、それ以上に我々EAユーザーにとって悪影響なのがロスカット基準です。以下はロスカット基準への影響を記載していきます。

当然として、証拠金が大きくなるということはロスカットの基準も上がります。ここで、上記の例を基にしてレバレッジ25倍と10倍でロスカットの基準がどう変わるか検討してみます。

レバレッジ25倍の場合

【前提条件】

・レバレッジ25倍

・現在(ポジション取得時)のドル円レート112円

・保有ポジション lot0.1(10,000通貨単位)のロング(買い)

・口座入金額150,000円

【ロスカットライン】

102.43円

 

 

レバレッジ10倍の場合

【前提条件】

・レバレッジ10倍

・現在(ポジション取得時)のドル円レート112円

・保有ポジション lot0.1(10,000通貨単位)のロング(買い)

・口座入金額150,000円

【ロスカットライン】

109.15円

 

 

レバレッジの変更によるロスカットラインの上昇について検討

上記のロスカットラインの比較で分かるように、レバレッジ規制が変わることで、ロスカットラインが大きく上がります。具体的には上記の例でおわかりいただけると思いますが、レバレッジが25倍から10倍に変わることで、112円でポジションをとったロングポジションのロスカットラインが102.43円から109.15円に上がります。

つまり、150,000円を口座に入金していれば、ドル円112円でロングポジションをとり、そこから9.87円下落しても耐えられたのに(実際の取引としてはもっと早くに損切りですが)レバレッジ規制が10倍になったことで、2.85円下落しただけでロスカットになってしまいます。

これはまさに、上記の個人投資家の損失リスクを下げるため~の狙いどおりかもしれませんが、本末転倒な感もあります。特にスイングトレードする場合、想定する値動きは、そこそこの幅を持っていますし、連敗によるドローダウンも考慮していますので資金力が求められます。

EAを利用するにしても、影響は大きいのではないでしょうか。例えばEAの中でも複数ポジションを持つものがありますので、レバレッジ規制がかかっても同じ数のポジションを持てるようにするには、資金を増やさないといけません。

また、上記のようにロスカットラインも上がりますので、EAの発注するストップロスより下にFX業者の設定する口座のロスカットラインが来るように口座残高を維持する必要があります。そして何より、ドローダウンに遭遇してから、調子を取り戻して右肩上がりになるまでEA稼働する場合、ロット数を維持する程度まで追加で入金をする必要がでてきます。

EAにはバックテストを見てわかるように、好調期・不調期があります。EAのロジック自体に優位性があれば長期スパン(年単位)でプラスになると見込めますので、EAの本来のポテンシャルを出すには、できるだけ長期運用をする必要があります。そのような環境の中、上記のレバレッジ規制はEA運用にとって悪材料でしかありません。

 

今後の流れ

FX業者の反発はあるようですが、これまでの規制の経緯を見ると、まず間違いなく規制が入ると思われます。

金融庁と一般事業者との関係については私自身の経験からもありますが、絶対的なもので正に「おかみ」といったものです。金融庁の意思決定や指示通達は絶対であるため、規制の検討に入った現段階において、その規制厳格化の流れを止める事は不可能です。よって、レバレッジ規制の25倍から10倍への変更は時間の問題と考えて間違いないです。

私の対策

北朝鮮のミサイル発射相場でのEA一本勝ちの記事で、私が使っている口座を取り上げましたが、私がEAを動かしているTitan口座はニュージーランドの口座であるため、この度のレバレッジ規制は無関係です。

現在Titan口座はレバレッジ500倍であるため、リーマンショックで国内業者に規制がかかる前の基準です。更にはロスカットラインが証拠金の100%ではなく20%なので、上記の計算例で計算すると

【ロスカットライン】

97.99円

となります。ということで、ドローダウンにも余裕で耐えて長期運用することが可能となっています。(早く復調してほしいところです。)

ちなみにですが上記例と同じ前提で、レバレッジが500倍となるとポジション数がどうなるかというと

【最大保有ポジション数】

66

となります。レバレッジ規制が10倍となると口座残高150,000円で、ドル円のlot数0.2でロスカットラインが近い状況に比べると全然違いますね。勿論、このTitan口座でも、ポジション数を増やすことは推奨しませんので、その点はご注意下さい。

今後、為替トレーダーは日本の業者を使う人が減っていくと予想されますので、海外での口座も検討する時期ではないでしょうか。私も海外の口座を色々調べたのですが、滑りやサポートにおいて評判の悪い業者もあります。業者を間違えると取引以前の問題となりますので、その点はご注意下さい。

 

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